信用取引講座信用取引の基礎知識信用取引の基本用語>空売りとは

空売りとは

信用取引における取引の一つとして「空売り」という取引があります。空売りは、信用取引における特徴的な取引方法の一つとされており、証券会社(証券金融会社)から株を借りて売り、その後買い戻すことでその差額をえるという取引です。株価が下落する局面でも利益を出せる取引として信用取引の大きなメリットの一つです。
一方で、空売りはリスクがある取引でもあります。ここでは、信用取引における空売りの仕組みについて分かりやすく解説していきます。


スポンサーリンク

空売りのしくみ

空売りとは、空(持っていない)状態で売るという意味があります。英語では「ショート(Short)」と表現されます。また、単に信用売りということもあります。空売りの仕組み自体は以下の図のような関係になっています。

投資家が取引証券会社に株の空売り注文をします。すると、証券会社は株券の貸借を専門に行っている証券金融会社という会社から空売りようの株券を調達します。
そして、証券会社は空売り用の株券を投資家に渡します。その株を投資家は市場で一旦売却します。
その後、市場で再度同じ株券を買い戻して証券会社を通じて借りた株を返却します。例えば800円で空売りをして700円で買い戻しをすれば差額の100円が利益となります。

なお、空売りができるのは制度信用取引の場合「貸借銘柄」に指定されている銘柄で、一般信用取引の場合は個別の証券会社が定めた銘柄だけで、すべての株式の空売りができるわけではありません。

具体的な仕組みを説明します。ある投資家がAという銘柄を空売りしたいと考えているとします。この会社の株価は現在800円です。

  1. 投資家は証券会社から、銘柄Aの株券を1000株借りてくる
  2. 証券取引所を通じて銘柄Aを1000株800円(80万円)で売却する
  3. その後、株価が予想通り700円にまで下落する
  4. 投資家は証券取引所で銘柄Aを1000株700円(70万円)で購入する(買い戻す)
  5. 証券会社から借りている銘柄A1000株を証券会社に返却する
  6. 投資家の手元には80万円(売った金額)-70万円(買い戻した金額)=10万円(差益)が残る

以上が大まかな流れです。上記はプラス(利益)となった場合ですが、予想に反して株価が例えば850円にまで上昇した場合は「80万円(売った金額)-85万円(買い戻した金額)=-5万円(差損)」というように損失が出ることもあります。

空売り最大のメリットは、株価が下落する局面であっても利益を得られるという点です。

左の図のように、株価が高い時(相場の山)、信用取引以外の取引では、投資に参加しないという選択しかありません。
しかし、空売りができる場合には、相場の山で空売りをして下がってきたところで買い戻すという戦略を取ることができ、取引の選択肢が広がっていきます。もっとも、相場の山を当てるというのはむずかしいのですが、取引の手段として空売りという選択肢があるというのは一つの強みになるかと思います。

 

空売りのメリットと活用事例

空売りのメリットというのは、「相場が下がっている局面でも投資できる」と「相場のリスクヘッジでも活用できる」という2点です。

相場が下がっている局面でも投資できる
これは、先ほど空売りの仕組みで説明した通りです。現物投資の場合、相場が下がっている局面では投資をしないという選択しかできませんが、空売りができればそうした環境でも利益を上げることができます。

また、リスクヘッジとしても空売りは活用できます。
例えば、株式投資をする場合、株価というものはその企業の業績だけで動くわけではありません。日経平均が下がるような場合にはそれに釣られることもあるでしょうし、為替に釣られることもあります。こうした市場や為替におけるリスクを回避する手段として空売りを使うことができます。

、ある自動車メーカーに対してあなたが買いと判断したとします。しかし、その会社の業績には自信がありますが、市場全体は弱含みと見ています。こうした場合に、自動車メーカーの株を買い、日経平均の「ETF(上場投信)」を空売りするとします。
こうすることで、市場全体が下げることによる、自動車メーカーの株価下落は、ETFの空売りによる利益が相殺してくれます。対して、自動車メーカーの株が上がり、日経平均全体が上がった場合には利益も相殺されます。ただし、市場変わらず、自動車メーカーの株が評価されたときには、利益だけが生まれます。
このように、空売りを活用する事で、一部のリスクを回避するといった使い方もできます。

 

絶対に理解しておきたい空売りのリスク

一方のリスクは、「空売りの損失リスクは青天井」ということです。株を買うという場合、どんなに価値が下がってもゼロにしかなりませんが、価値の上限はありません。

株式投資の格言に「買いは家まで、売りは命まで」という恐ろしい相場格言があるとおり、空売りというのは、万が一の場合のリスクが非常に大きい取引となっています。

たとえば、株価が100円の株はどんなに値下がりしても1円より下がることはありません。この場合の最大損失は1株当たり100円がマックスです。

しかし、空売りの場合は違います。空売りをした株が100円から200円(2倍)500円(5倍)1万円(100倍)になることだってあるのです。

このような「値段には上限がない」というのが空売りにおける大きなリスクです。一方で空売りの儲けは最大でも「株価相当」となります。空売りをする前にまずはこれを覚えておいて下さい。

ただ、空売りは恐ろしいものではるものの、活用方法によってはとてもメリットがある投資法ですのでぜひ理解して、正しく活用してください。

 

スポンサーリンク

信用取引おすすめ証券会社

証券会社ごとのスペック比較などは「信用取引におすすめの証券会社比較ランキング」をご覧ください

ライブスター証券

信用取引手数料は一律84円(300万円超なら無料)と安いうえに金利水準もかなり低いです。また、口座開設から約2ヶ月間(40営業日)は信用取引をはじめ、現物取引、日経225先物・mini・オプション取引の取引手数料が無料となっています。
信用取引手数料(100万円):84円
信用金利(買方):2.30%
>>ライブスター証券詳細情報

SMBC日興証券

SMBC日興証券の特徴はネット取引の信用取引手数料が「無料」となっている点です。取引手数料が無料なのでアクティブな信用取引に最適です。信用取引にお勧めの証券会社。
信用取引手数料(100万円):無料
信用金利(買方):2.50%
>>SMBC日興証券詳細情報